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【連載企画⑧】欠品対策に取り組む意義

この記事に書かれていること

購買意欲が高いユーザーほど「欠品」に遭いやすい

欠品がもたらす3つの悪影響

欠品対応を特に意識すべき商品カテゴリ

1. 購買意欲の高い顧客を失う「欠品」の重大性

店舗型ネットスーパーにおいて、店頭在庫とのタイムラグによる「欠品」は避けられない課題です。しかし、ユーザーにとって欠品は単なる在庫不足ではなく、「予定していた献立が作れない」「結局買い出しに行く手間が増える」といった、サービスの利便性を根底から損なう重大な問題となります。

特に注意すべきは、たくさん買ってくれる「購買意欲の高いユーザー」ほど、物理的に欠品に遭うリスクが高まってしまうという点です 。大事にすべき顧客の期待を裏切らないことこそが、対策の最大の目的です 。

2. 欠品対策をする上で、意識すべき指標

欠品の影響を正しく把握するためには、単に「いくつ足りなかったか」だけでなく、複数の視点から指標を追う必要があります。意識すべきは下記の3つの指標です。

これらの目標水準は、retail HUBが支援する小売企業様の中でも、対策を徹底することでパフォーマンスを維持できている店舗のスコアをベースにしています。各指標をモニタリングし、数値の変化に気づくことで、商品の掲載状況と在庫連携の状態を把握することができ、改善すべきアクションに繋げていきます。

3. 欠品が引き起こす3つの悪影響

では、欠品が発生すると、具体的にどのようなマイナス要因が生まれるのでしょうか。ネットスーパーの事業にとって、以下の3つの悪影響が生まれます。

(1)短期的な売上損失:バスケット売上の直接的な減少

注文商品の売上が直接失われ、バスケット単価・売上の低下に直結します。

(2)長期的な売上損失:ユーザー体験の悪化による継続利用率の低下

期待を裏切られたユーザーの継続利用意欲が低下します 。
下記は注文商品の欠品率別にそのユーザーが翌月も利用した割合をグラフ化したものです。

特に注文した商品の4割以上が欠品になってしまうと、翌月以降の注文率が大きく下がり、欠品によるユーザー体験の悪化が影響していると考えられます。

(3)人件費の増加:現場オペレーションの増大

欠品が発生すると、現場の作業が増えます。例えばピッキング時、棚に商品がない場合バックヤードで在庫調査を行ったり、商品がない場合は代替商品(*1)の選定を行ったりする必要があります。特に代替商品は、利用用途や金額帯などから類似商品を選ぶ必要があるため(状況によってはユーザーへの確認の電話を行う場合も)、現場作業者のオペレーション工数が増え、人件費の増加に繋がります。欠品を起こさないことは、ユーザー体験の向上だけでなく、人件費の増大化を防ぐことにも繋がるのです。

(*1)商品が欠品の場合、類似品に変更してお客様にお届けする商品。

4. 初回ユーザーへの影響と重要性

欠品の影響を特に意識すべきは、初めてサービスを利用するユーザーです。初回利用から「欲しいものが揃わない」という不便さを感じると、離脱の確率が上がります。実際のデータを見ると、初回商品欠品率が上がるほど、2回目の注文率は低下しており、30%を超えると次回注文率が大きく低下します。

そのため、欠品対策は2回目以降離脱防止策としても重要な施策となり、万が一欠品となった場合、初回ユーザーに対しては丁寧なコミュニケーションが必要と言えます。

5. 欠品が発生した場合の「代替商品」

欠品が生じてもサービスへの信頼を損なわないために重要になるのが、欠品が発生した際に「代替商品」を提案・お届けする取り組みです。retail HUBが提供するシステムでは、欠品時に「商品をキャンセルする」か「代替商品を希望する」かを、ユーザー自身が注文時に選択できる設計(*2)になっています 。

実際の利用データを見ると、ユーザーのニーズは明確です。

  • ユーザーの希望比率:半数以上(52.8%)のユーザーが代替商品を希望 。
  • 注文件数ベースの発生比率:約6割(59.5%)の注文で代替商品が希望。

このように、多くのユーザーが「予定していた献立が作れない」という事態を避けるため、代替品による補完を求めています 。

代替品の選定は現場スタッフが行いますが、スピードが求められるピッキング作業において、一人ひとりの判断に委ねすぎるのは効率的ではありません 。ユーザーの期待を裏切らず、かつ現場の負荷を抑えるために、以下の2点を意識した「選定ルール」を設けている場合が多くあります。

  1. 用途や味の類似性:料理のメニューに支障が出ないよう、同カテゴリかつ類似の用途・味わいのものを選ぶ。
  2. 価格の妥当性:元の注文金額から著しく高額にならない範囲で調整する。

スタッフがこれら「用途」と「価格」を考慮して誠実に検討・提案することで、欠品によるユーザーへの失望を最小限に抑え、運営を行っています。

(*2)代替商品機能をオフにし、欠品の商品は全てキャンセルにすることも可能です。

6.カテゴリ別の欠品対策と優先順位

「どの商品から優先的に欠品対策をすべきか?」という判断について、retail HUBがどのような視点で支援を行っているのかを整理しました。

大きく分けて、「欠品の起きやすさ」と「欠品した際のお客様のショック(離脱率)」の2軸で分析しています。

欠品が起きやすい商品の傾向
下記はretail HUBが支援するA社の商品カテゴリ別の商品欠品率(注文数に対する欠品商品数)です。

商品カテゴリによって、在庫管理の難易度や欠品リスクが異なります 。

  • 生鮮食品・惣菜商品
    日ごとの仕入れ状況や店内の加工・製造数に左右されやすく、タイムリーな在庫管理が難しい。

  • グロサリー(菓子類など):
    シーズンによって商品の入れ替わりが起こる事が多いため、棚割の変更タイミングなどを意識して掲載商品のアップデートを行う必要がある。

生鮮食品や日配商品は、ネットスーパーの利用が習慣化したロイヤルユーザーの購買率も高い商品となるため、定期的に掲載されている商品と棚の商品、在庫状況を確認するなど、商品がないにも関わらず掲載が続いてしまっている状態をなくしていくことが必要となります。

カテゴリ別に見た「欠品の影響度(ガッカリ度)」

「欠品した際、どのくらい次回の注文を止めたくなるか(離脱しやすいか)」を分析し、優先順位をつけています 。

下記のバブルチャートは、上に位置するほど「欠品した際、次回の注文に繋がりにくい(離脱しやすい)」傾向があることを示しています。
「献立に影響するような商品」「指名買いが想定されるような商品」ほど、欠品が次回購入を阻害する傾向があります。

現場のスタッフや時間には限りがあるため、すべての欠品を完璧に防ぐのは困難です。そのためユーザーへの影響を基に優先順位をつけて対応することで、ユーザーからの信頼損失を最小限に抑える運用を行うことが重要です。

まとめ

ネットスーパーの黒字化には、集客や配送効率化だけでなく、「ユーザーが欲しい商品を確実に届ける」という信頼を守ることが重要です。retail HUBでは、欠品をユーザーの継続率やLTVを高めるための重要な施策と捉え、欠品の定期観測から具体的なオペレーションの改善まで、現場に即したサポートを行っています。

次回も引き続きネットスーパーの黒字化に向けた連載記事を解説予定です。お楽しみに。

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