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ロッテ様

動画で「つくってみたい!」を醸成 パッケージにレシピで流通商談にも活用




ロッテは、ハロウィンにあわせた限定デザインの新製品「エンジョイハロウィン」シリーズのプロモーションに、国内最大級のレシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」を活用。商品パッケージ上でもコラボしたレシピの完成イメージ画像を掲載することで、動画再生回数は伸び、流通業との商談にも役立ったという。その取り組みについて話を聞いた。


(左)ロッテ ロッテノベーション本部 ブランド戦略担当 焼き菓子企画課 本原正明氏
(右)エブリー 執行役員「DELISH KITCHEN」カンパニー長/編集長 菅原千遥氏



ハロウィンに「つくってみたい」気持ちの醸成や行動喚起を期待

本原:年々盛り上がりを増していて、お菓子メーカー各社が力を入れているのが、ハロウィン時期の商品です。ロッテは今年、カワイイ文化の第一人者であるアートディレクターの増田セバスチャンさんとコラボし、「KAWAII ハロパ」をテーマにパッケージや個包装をデザインしました。「コアラのマーチ」「トッポ」「パイの実」などを「エンジョイハロウィン」シリーズとして展開。ハロウィンは、お菓子をご家庭で楽しむ方が多く、その際にみんなで分けやすい個包装化されたシェアパックの方が店頭では売れやすい傾向にあります。

多くの企業がシェアパックだけをハロウィン仕様にする中、ロッテは、個包装化されていない単品商品もハロウィン仕様で展開していました。流通さんからは「ハロウィンに単品商品の需要はあるのか?」という声が挙がっている中、今までは、レシピによる食べ方提案などを行い、他社との差別化を図っていました。ただ、担当としては今までのレシピ掲載だけでは一方的な提案にとどまり、生活者の行動を促すまでには至っていないと課題も感じていました。

そこで「DELISH KITCHEN」さんに依頼。本格的なのに、手軽にできるレシピ提案が、「お客さまの"やってみたい"、"つくってみたい"という気持ちを醸成してくれるのでは」と考えたためです。「トッポ」「コアラのマーチ」「パイの実」の3つの商品に近年のハロウィンのトレンドを取り入れながら、「ハロウィンを楽しめるレシピ動画」をつくれないかと相談しました。

菅原:3商品を組み合わせたレシピ提案は、「DELISH KITCHEN」の中でも初めての試みでした。パーティーでお子さまも一緒につくって楽しめるようなレシピにしたいと考え、企画したのが、真っ黒なロールケーキに、オバケやほうき、目玉などの"グロかわいい"アイテムをデコレーションした「コアラのマーチでKAWAIIハロパ ハロウィンタワー」です。企画にあたり工夫したのは3点。

1点目は、「DELISH KITCHEN」でのヒット動画の傾向を生かして"意外と簡単につくれる"提案を入れること。今回は、人気は高いが難しいと思われているロールケーキを、電子レンジで簡単につくる方法を紹介しています。2点目は、ハロウィンらしい、トレンド感のある見た目に仕上げること。ココアパウダーを使った真っ黒なロールケーキに、かぼちゃクリームを組み合わせて表現しました。

3点目は、お菓子そのものの形を生かしたデコレーションアイテムの開発。「パイの実」の六角形を利用した"目玉"や、「トッポ」を刺してつくる"ほうき"や"おばけ"など、フードスタイリスト一同でアイデアを出し合ってつくりました。こうしたアイテムづくりやデコレーション作業はお子さまも参加しやすく、自分のオリジナルなデザインでつくることができるのがポイントです。

本原:焼き菓子は切ったり加工したりするのが難しく、最後のトッピングに使うか、お菓子の家などの土台として使うことがほとんどでした。今回は、お菓子の形を生かしながらも、見栄えのよい仕上がりで、私たちからは出なかった発想があって驚きましたね。撮影にも立ちあったのですが、映る角度ひとつにもこだわる姿勢がうれしかったです。

レシピは動画で配信するだけでなく、商品パッケージにも記載をして使用した。

効果的なパッケージへの掲載で完全視聴率も異例の高さ

本原:今回、レシピの完成イメージ写真と「DELISH KITCHEN」さんのロゴを、商品パッケージにも掲載させていただきました(「パイの実」「トッポ」のパッケージに掲載)。ロゴを掲載したのは、商品を手に取ってくださったお客さまへの紹介はもちろん、流通さんに対して、ハロウィン時期にこの商品をお客さまに届ける意味や、商品の採用につなげる狙いもありました。実際、「DELISH KITCHEN」さんとのレシピ動画が、商談のフックとして役立ちました。

菅原:特徴的だったのは、完全視聴の割合が高かったこと。通常1分程度の動画が多いところを、今回は3商品を紹介したことによって2分半と長めの動画になったのですが、最後まで見てくださった完全視聴の割合が、他の1分動画に比べても高かったのです。動画の冒頭にハロウィンらしいアニメーションを入れるなど、惹き付けも成功していたのではと考えています。

本原:完全視聴の割合が高かったのは、実際に「つくってみよう」と思って見た人が多かったのかもしれませんね。SNS上でも再現投稿をしてくださるユーザーさんがいらっしゃいました。何かつくりたい、と思って検索するためのレシピサイトは山ほどありますが、検索する前のユーザーにリーチができて、レシピ自体に見栄えの良さや面白さがあり、「つくってみたい」という気持ちを刺激する動画はなかなかないですよね。
私たちの会社が提供しているお菓子は、主婦をターゲットとしたものも多いため、「DELISH KITCHEN」さんとはターゲット層がマッチしているのも魅力。今回のコラボレーションを通じて、改めて感じたのは、お菓子は「おいしい」だけではなく「楽しい」「わくわく」をつくるものだということ。「楽しい」をつくることが、お菓子の新しい可能性を拓く。今後も、"わくわくさせる"、"つくってみたい"と思わせる動画を、一緒につくっていけたらよいですね。

菅原:「DELISH KITCHEN」では現在、小売業さんとの連携も強化しているところです。今回も流通商談に役立てていただいた、とありましたが、今後はデジタルサイネージの活用など流通の場も絡めたご提案ができたらと思います。