ネットスーパーに取り組む企業が増える一方で、黒字化には数多くの課題が伴うことを前回お伝えしました。しかし、適切な対策を講じることで、実際に短期間で黒字化を達成した事例もあります。では、その鍵となるポイントとは何でしょうか?
今回は、限界利益の黒字化を達成した沖縄県の企業様(A社)の事例をもとに解説します。
黒字化を実現するためには、一足飛びではなく段階的に収支を改善していくことが重要です。特に、多くの企業が取り組む「店舗型ネットスーパー」においては、以下のステップを踏むことが理想的だと私たちは考えています。
ネットスーパーの運営でまず最初のハードルとなるのが、STEP2の店舗単位の限界利益黒字化です。(本社人件費などの「固定費」を除いて、配送費やピック・パック作業費などの「変動費」のみを考慮した場合の黒字化)このステップを達成した後に2店舗目以降の拡大となりますが、達成できずに一店舗の運営に留まっている場合も多く見受けられます。
retail HUBでは、この限界利益黒字化でのつまずきをなくし、店舗拡大につながる伴走支援を行っております。
では、どのように店舗単位の限界利益黒字化を乗り越えればいいのでしょうか?
沖縄県那覇市を中心に展開するA社様も、多くの企業と同じく「店舗単位での原型利益黒字化」でつまづいていた企業の一つです。2021年にネットスーパーを導入していましたが、このステップ2で長らく苦戦されていました。
しかし、2023年のアプリ版リリースから、私たちが本格的に伴走支援に参画し、約6ヶ月で限界利益の黒字化を達成。現在では2店舗へ拡大しています。
ご支援開始前に抱えられていた具体的な課題は、下記の5つです。
retail HUBでは、現地調査やデータ分析、外部パートナーとの連携を通じて、ひとつひとつの課題に具体的な解決策を提示・実行。さらに、A社によるポスティングやクーポン配布などの施策とも連携することで、伴走開始後6ヶ月で“早期の限界利益黒字化”につなげることができました。
上記の課題に対するA社様への現在までの伴走支援の中で、主要な事例を2つ紹介します。
伴走支援は数値に基づいた分析だけでなく、必要に応じて私たち自身も現場に入り一緒になって支援を行います。
A社様との取り組みでは、アプリリリース後に店頭でブースを展開し、お客様への告知やダウンロード促進の声かけを実施。ユーザー獲得を進めると同時に、エンドユーザーの生の声を収集し、以降の改善策に活かしました。
店頭でのブース展開やビラ配布などによりお客様が目にする機会を増やしたことで、月間の新規登録者数は従来の442%と大きく伸長し、ユーザー獲得に貢献できました。
限界利益の黒字を継続するためには、顧客満足度を維持し、ユーザーの離脱を防ぐことが重要です。A社様の課題の一つに、「供給力(=一日にお届けできる注文数)の不足により需要が高まるタイミングでの機会損失が発生している」という課題がありました。せっかく集客施策を展開しても早々に配送トラックが満便となって受付終了となってしまい、かえって顧客満足度を下げてしまう状態でした。
現場見学やヒアリングをする中で、A社様の場合、供給力を上げるためには「限られたバックヤードのスペースでいかに多くの商品をパッキングできるか」が重要な鍵になると判明。パッキングアプリの提供に加えて、バックヤードの効率的な動線作りの支援も行いました。
結果として、現在の配送上限は以前の126%まで拡大し、より多くの注文を獲得できるようになり、ユーザーの離脱にもつながる満便状態の低下にも繋がっています。
今回は、黒字化までのステップと、黒字化の事例としてretail HUBが支援する企業様との取り組みを紹介しました。
次回以降、今回のような取り組みや具体施策を項目ごとにご紹介していきます。ぜひご期待ください。
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